ねこ、ラーメン、午前4時

 最近よく出会う野良猫に早起きして会いに行った。そこにはおじいさんもいた。わたしのもっている犬猫用にぼしのかわいい袋をゆびさして、こいつもうにぼしなんて食べないよとおじいさんはいった。なんでも、おじいさんの奥さんが猫にとってはにぼしなんかとは比べ物にならないほどの高くておいしいごはんをあげているのだという。だっこできるんだよといっておじいさんは猫に近寄って行ったけど、ねこはすばやく逃げてしまって、2人で苦笑いをした。道路を挟んだファミリーマートに奥さんがねこのごはんを買いに行っているというので、わたしは失礼した。犬猫用にぼしは自分で食べようと思った。
 ストップウォッチでウォーキングの記録を測っているらしいおじいちゃんや、スーツのサラリーマン、ジョギングしている若者、ねこ、わたし。風は強いけれど、空が青くてあったかくてとても気分が良かった。
 わたし今日から神隠しにあう。1日に数時間、わたしという人間はこの世からいなくなる。その数時間、わたしは神様のところに行って、おあそびするだけ。おごってもらう深夜3時の山岡屋の醤油ラーメンはおいしかったし、店長がしてくれたアニメの都市伝説の話(かなり長い、おわらない)もおもしろかったし、同い年の女の子とは気があったし、神隠しにあってもかなしくない。かなしくないよ。
 おうちにかえったら4時をまわっていて、くたくたで、お化粧を落としてはみがきしておふとんに入ったけど、なかなか眠れなかった。目をつぶると、泣けちゃいそうだったから、天井を見つめてた。はじめてのことにわりと順応してしまうじぶん、慣れてはいけないことに慣れていく自分、でも、わたしはきょうたくさん笑えたし、あしたもあさってもきっとなんとかなる。みんなね、大切なことから目をそらして、わらってるの、まだねこ買ってないのにキャットタワーを買っちゃった店長はかわいい。なんとかしようよね、春だね、さむさで肩がこることもなくなってきたよね。
 わたしをさがしにいかなくちゃ。きみも一緒に来て。