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 バイトの休憩室で、グミを食べています。パイプ椅子に座りながら白いテーブルにグミを並べています。最近、すごくきもちいいセックスをしました。セックスをしているとき、相手の男はすごくすてきな目をしていました。三白眼で、わたしを睨むように、貪るように、見つめていました。わたしはセックスをする際にそのような目をする男の人を知りませんでしたので、非常に印象深く感じ、脳裏に焼き付いております。わたしはきっと、彼のその目にどうしようもなく惹かれてしまったのだと思います。彼のその目を思い出すと、胸の内が震えるような感覚を覚えます。 
 ラブホテルを利用したのはその夜が初めてでした。わたしは記憶に留めておくためにアイフォンのムービーを起動し、タッチパネルで部屋を選ぶところから録画を始めたのでした。非常に気分が高揚していたのを覚えています。ラブホテルというのはセックスする場所であると大方認知しておりましたので、何組もの男女がわたしの頭上でくねくねと交わる姿を想像し、へんな気分になったのでした。そして数十分後にはわたしとその男もそのうちの1組になるのでした。
 東京には今桜が咲いています。わたしは花というものにあまり興味がありませんでしたので、毎年毎年飽きずに咲く桜をじっくりと眺めたことなどありませんでしたし、花見なんて桜を口実にガブガブとアルコールを摂取する行事程度に考えていました。ラブホテルを出て、恋人の家に帰る途中、ふと桜が目につきました。いつもだったら立ち止まることもなく通り過ぎるその場所で、わたしは只々立ち尽くし、桜を見上げていました。たぶん、わたしは少しかなしかったのだと思います。すこし、泣きたかったのだと思います。桜には人間をセンチメンタルにする力があるのかもしれません。それともわたしがかなしかったから、泣きたかったから、桜を見ていたのかもしれません。かわいらしいピンク色でした。わたしは地面に散った桜のかわいらしいピンク色の花びらをパンプスで踏みつけました。花びらは泥で汚れてしまったので、ちっともかわいくありませんでした。
  わたしの胸に顔を埋めて、ア、マスカットの匂いがする、と男は言いました。それが起因しているのかどうかはわたしの深層心理に訪ねてみないとわかりかねるのですが、わたしはバイトの休憩室でパイプ椅子に座りマスカットの味がするグミをたべているのでした。もうじき休憩時間は終わります。休憩室の時計は19時50分を指しています。わたしはふたたびレジ打ちロボットに変身するのです。